建物の構造を計画する場合、実務上、法令の範囲で経済的な構造を成立させることが要求されます。
法令は、必要最低限の基準ですから、構造体に係る金額で建物全体のコストを大幅に下げることは容易ではありません。
むしろ、減額方向に調整してはいけない範ちゅうです。
そこを無理して、予算頭打ちで建物の大きさや内外装の仕様を落とさずに計画が進んでしまうと、目に見えない構造体にコストダウンのしわよせがいってしまう、本来であれば成立しない(建てられない)計画になってしまいます。
通常は、建物の規模や用途等よって構造方法が決まり、平面や立面計画に要求される構造体の必要最低限の性能(資材の断面の大きさ、強度、等級など)が決まってきます。
同時に、断熱性能や遮音性能など、建設地の条件や建物の用途・生活様式によって要求される性能も決まります。
つまり建築は、最初に安全である構造と性能や設備ありきでスタートするものです。
構造体の上に施される仕上材の雰囲気・耐久性やインテリア類の空間演出効果(ソフトな面)も大切ですが、そこに気をとられすぎて予算配分を取り違えることなく安心して生活ができるハードの面(構造)とのバランスを取りながら、豊かに思える空間を創造、提案できればと思います。
当たり前のことなのですが、自分に言い聞かせる意味でコラムとして書いてみました。
ー2007年度後半は、建築産業にとって混乱を迎えた時期でした。建築基準法の改正に伴い、建築確認申請の決済が滞り、建築会社と関連産業に深刻なダメージを与えたことは、ニュースでも報じられてご存知の方もおられるでしょう。
同じ業界の方々とお話をするなかで、話題はどうしても明るくないことが多かった去年の下半期でした。
耐震強度データの改ざん防止機能の基準を定めた新たな計算方法プログラムソフトの実用(07年6月までに運用を始める予定だった)がなかなか認定できない段階にあるため、建築確認申請が未決済のままにあり、建物の着工や完成の時期が未定、という状況が今も続いています。
木造2階建の住宅はあまり影響はありませんが、他の構造方法や賃貸物件などの建築のご予定がある方は、時間に余裕をもってご相談されることをお勧めいたします。ー
('08 Jan)
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